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∷ FT아일랜드 ∷/————사진

[ Pics. ] [EXCITE MUSIC] FTISLAND AUTUMN TOUR 2013-REPLAY-

http://www.excite.co.jp/music/report/1310_ftisland/
















(撮影/草刈雅之) ※写真は10月2日のものとなります

「この日を待ってたぜ!」(ホンギ)
――メンバー全員が美声を披露した、3年ぶりのライヴハウスツアー


FTISLANDが3年ぶりのライヴハウスツアー【FTISLAND AUTUMN TOUR 2013-REPLAY-】を開催した。9月にリリースされたベスト盤『THE SINGLES COLLECTION』を引っさげた本ツアーでは、キャリアを網羅するような幅広い選曲がなされていただけでなく、思いがけないアレンジを連発。初日の 10月1日(火)、Zepp Tokyoで繰り広げられたのは、遊び心満点でポジティブなエネルギーに満ちた、会心のステージだった。

 オープニングアクトとして、後輩のバンドN.Flyingが「Poker Face」のカバーを含む3曲を披露し終えると、神秘的な青い光の中、SEに乗せてFTISLANDのメンバーが登場。ホンギ(Vo)作曲によるメランコ リックなロッカバラード「Black Chocolate」を独唱からスタート、やがてメンバーが重く厚くしっとりと音を重ねてゆく。この幕開けに早くも意表を突かれ、グッと引き込まれた。す ると「シアワセオリー」を皮切りに雰囲気を一転、はっきりと顔が見える明るい照明の中、アップチューンを畳み掛けてゆく。「Time To」のイントロに乗せて、自ら手拍子をしながら「遊ぼうか?」と観客に呼び掛けるホンギ。メンバーは立ち位置にじっと留まることなくしきりに動き回り、 互いに向き合って呼吸を合わせてキメのフレーズを繰り出すなど、このステージをまず彼ら自身が楽しんでいることが伝わってくる。

 MCでは、韓国での2DAYSコンサートという大仕事を終えて「日本に戻りました!」と挨拶したホンギ。「この日を待ってたのかい? 俺らも待ってた ぜ!」「知っている曲は歌って下さい。隣の街まで聴こえるように、一緒に歌ってみよう!」と会場を埋め尽くすファンに語り掛けた。続き、イントロで悲鳴が 沸き起こったのはインディーズ2ndシングル「I believe myself」。モノクロで映し出される電車やビル街、雑踏を行く人々の映像とも相まって、美しく切ないメロディーが胸に響く。力強い歌声を聴かせるホン ギの佇まいからは、曲の世界に集中しているのが読み取れる。ジョンフン(Gt,Key)のピアノで幕開けた「Memory」も一音目から大歓声が起き、観 客も共に歌い、会場の一体感は強まるばかりだった。

 「“REPLAY”というタイトル通り、昔の曲を編曲してみた」とホンギは語り、「みんな、他のメンバーの声とか、聴きたいでしょ? だから今日はスペ シャルでプレゼントするね!」と、ミンファン(Dr)を前方に招き寄せる。緊張するミンファンの肩をスンヒョン(Gt,Vo)が揉む、という微笑ましい場 面も。ミンファンに合わせてキーを少し高くしたという、ホンギの主演映画『フェニックス~約束の歌~』の日本版エンディング曲「オレンジ色の空」を2人で 披露。初めて聴く彼の本格的な歌唱に驚愕。透明感のある瑞々しい声質なのだが、節回しには独特の力強さがあり、深い情感がこもっていて、度肝を抜くほどの うまさなのだ。歌い終えたミンファンは「ミュージカルをやったので自信感があったけど、FTとして(歌うの)とは違うし、緊張した」と初々しい感想を述べ ていた。続けて、スンヒョンのアコースティックギター、ジョンフンのピアノに合わせてジェジン(Ba,Vo)が歌った「You Are My Life」、ダークなピアノのイントロで会場の空気を塗り替え、ジョンフンが深く響く大人っぽい歌声で魅了した「Beautiful World」、ホンギがメインで歌う形に戻り、客席に向けた優しい笑顔も印象的だった「Here」……次々と驚きのシーンが訪れたシークエンスは、本公演 のハイライトと言えるだろう。

 この後、「Falling Star」や「FREEDOM」といった、ライヴ映え確実の楽曲たちで会場の空気を掻き混ぜるのも忘れなかったが、そこだけに頼ることなく、「次はどの曲 を、どんなアレンジで聴けるんだろう?」というワクワク感を与え続けてくれたことに、彼らの大きな進化を感じてしまう。「気持ちいい!」という言葉がホン ギの口からこぼれた「Someday」まで勢いよく駆け抜けると、「3年ぶりのZepp、楽しいね! こんな近い距離でね」とホンギは語り始める。アリー ナクラスの大会場で公演できるようになった人気に対し、まずは、真摯に感謝の気持ちを述べた。「でも、バンドだし(それだけでは)実力がつかない」とスト イックな言葉も口にし、「Zeppに戻りたい」とこれまで何度も願ってきた理由をファンに明かす。「みんなの顔を見ながら(ライヴを)やれると、気持ちい いね!」と語ったホンギをはじめ、全員が本当にうれしそうだったのが印象的。本編ラストはバラード「いつか」で締め括り、熱気の中にもしっとりとした余韻 を残した。

 「FTISLAND!」コールが鳴り止まない中、再登場した彼らは、「アンコールは懐かしい曲でいってみよう」(ホンギ)との言葉から「Stay」を奏 で始め、ハッピーな空気を会場に満ち渡らせる。続けて披露したのはインディーズ3rdシングル「Raining」。天気予報を参考に選んだという秘話を明 かし、「今日雨が降ると聞いて用意したけど、降ってないね(笑)。でも懐かしいでしょ?」とホンギ。この後ツアーで赴く全国各地の食への期待などを交え、 リラックスした様子で語ながら、最後は「Treasure」の大合唱で盛り上げ、「また遊ぼう!」(ホンギ)と未来へ繋げた。

 ライヴハウスならではの距離の近さ、熱気の共有だけを追求するのではなく、バラードを効果的に配置し、聴かせるところはしっかりと聴かせ、メリハリの付 いた内容で心に残るステージを作り上げたFTISLAND。メンバー全員、それぞれにスポットライトが当たる場面があったのが楽しかったし、バンドとして のまとまり、結束の高まりは演奏に表れていた。「ファンが聴きたい曲、求めるものは何か?」というエンターテインメントの原点ともいえる視点を大切にしな がら、彼ら自身が演者としてステージづくりを心底楽しんでいる様子が感じ取れる、眩しくて幸福なライヴだった。
(取材・文/大前多恵)